2011年9月11日日曜日

感想 「濱田庄司 スタイル展」いってきました


パナソニック電工 汐留ミュージアムで開催中の
濱田庄司 スタイル展」にいってきました。



濱田庄司さんは、1894年、日清戦争の始まった明治27年から
1978年まで生きた、現代陶芸の第一人者で 人間国宝。

当時、「産業革命」「技術革新」「大量生産」
という近代化の波にあった日本で、
わたしたちが使う日用品も
機械的に作られた製品が出回り 流通しはじめていた頃、

それまでの、民衆の手仕事によって生み出されてきた
名もなき器や、伝統的な工芸品に美を見い出し、
柳宗悦らと「民藝運動」を推進してきた濱田庄司。

若い頃、イギリスに滞在したときに、
アーツアンドクラフツという、「民藝運動」とも志の似た
運動に参加していたエリック・ギルという人物と
出会ったことが大きな影響を与え、

ギルが、ロンドンから少し離れた所に工芸家村を築き、
身の回りの生活をすべて自分たちでデザインし、芸術活動を行う
というスタイルに、理想の暮らしを見たのか、

濱田庄司は帰国後、益子の地に移り住み、
自然にもとづく衣食住というスローライフを実践しながら
亡くなるときまで陶器の制作を続けたそうです。


今回の展示では、陶芸作品はもちろん、
益子生活で実際に使っていた生活用品や家具、
世界各地で集めた「民藝」的なコレクションの一部が、
現在、濱田庄司の工房を活用し、美術館として公開している
益子参考館の特別協力で、140点余り展示されていました。

※上右は今回は出てないものです。

益子参考館にも、いつか行ってみたいと思いながら
残念なことに、震災の被害で収蔵作品が何百点も割れてしまったりと、
現在開館はしているものの、損害は1億円近くあるため、
修復しきれていないそうです。


この汐留ミュージアムでの展示は、
場所自体もそんなに大きくないので
コンパクトに展示がまとめられていて、
気軽に見られる感じでした。

個人的によかったのは、
濱田庄司が、制作の参考にしていたという
コレクションの陶器でした。


これは展示されていたものとは違うけど、
イギリスのスリップウェアと呼ばれるお皿や、

江戸時代に焼かれた、松の絵が印象的な大鉢。

全く伝わらないと思うけど、イラストで・・・。 
大きな鉢の内側の側面に、松の絵がぐるっと、
勢いよい線で描かれていました。
唐津焼の系統で、九州で焼かれていた弓野焼きから
さらに継承された、二川焼のお皿でした。
これが今回一番こころ惹かれたものでした。


全体の作品を見ていて感じたのは、

作為がなく、自然の偶然によってうまれた
絶妙な色合いや、線のゆれや、形 

というものが、濱田庄司の作品にも、
そのコレクションにも共通して思ったこと。

生活スタイルも、自然を大切にし、
作品が根づくところも行き着くところも やっぱり、
人間の創意を越えた 何か自然的なもの。
それを求めて作り続けてたのかなあと 思いました。


イギリス経験からもあると思うけど、
日常用品は今から見ても、雰囲気があってずいぶんお洒落。
イームズから直接譲ってもらった椅子がお気に入りだったそう。
モノからも、洗練されたセンスを感じる。

自宅兼工房には、地元の人や芸術家仲間たちがいつもあふれ、
濱田旅館のようになっていたそう。
土地のものを使った料理を、自作の器に持って
それを取り囲みながらワイワイと語る姿の写真も展示されていた。

ただ、そのモダニスト感と「理想の暮らし」感、
何かが少し気になって・・・

その気になることは、どこか
“民藝運動”とセットに考えると
“個人作家”の存在 という時点で矛盾を感じるのと似ていて

なんというか「作為のなさを求めている作為」が
それはどうしても仕方なく あるような気がした。

個人作家として 人間国宝となる
そういうことについて、本人はどういうふうに
感じていたんだろう 。

そんなことも含めて「民藝」については、
ひきつづき色々と思ってみたいし、
私の好きな素朴かわいいとも繋がる話だし、
民藝運動家たちのことを、もっと知っていこうと思います。

1 件のコメント:

  1. これ、日曜美術館で見て気になってた!

    今見ても、センス良いって感じるよね。

    やっぱり行かなきゃ~~!!

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