『イカの心を探る』池田譲 2011
イカは美味しい。煮ても焼いても生でも美味しい。でもイカ自身のことはほとんど知らないに等しい。近くにいる人のことほど実は知らないことが多い。
しかしこの本を読み、イカの見方が変わりました。イカに対する無知を恥じ、イカへの敬意すら湧きました。イカってすごい。
のほほん、としているように見えるイカ。
でも実はとても繊細な生き物で、「飼育不可能な最後の海洋生物」と言われてきたそうです。
確かにパッケージされたイカは山ほど見たことがあっても、泳いでいるイカのイメージはあまりない・・ 水族館でタコはいてもイカはいない。
それはイカが大変神経質なため、水質、餌、あらゆる面において飼育が難しく、水槽にポーンと入れただけではすぐに死んでしまうからだそう。逆にタコはストレスに強いようで、私たちの口に入るときに、まだ動いている!ということがあるように、水揚げされてからでもしばらく生きていたりする。
世界の中でもイカを最も消費し、最もイカと馴染みが深い日本なので、進んだ研究がたくさん行われているのかと言えば、そんなイカの扱いの難しさもあり、まだまだ分からないことが多いという。
ミステリアスな存在、イカ。
さらに謎めかせるのは、イカが動物界にも例を見ない巨大神経を持っていること、そして他の生き物の脳のサイズと比べると、体に対して異常に大きい脳を持っていること。そのためイカは学習能力や記憶に関して高い能力が認められていること。しかしなぜ巨大脳が発達したのか、イカの賢さはなんのためか、については今のところはっきりとした答えがない。
宇宙人のようなイカ。
昔の火星人のイメージといえば、まさしくイカやタコのような形をしていて、脳が発達し頭が大きい頭足類に似た姿だった。イカの持つ異様に大きい目も、そう考えると何をじっと見ているのか、何を思っているのか気になってくる。
この本では、実は複雑な情報処理能力を持っているイカが「他者を見分けているのか」、「自分というものを認識するのか」、「イカのソーシャルネットワークはどのようなものか」などといったイカの認知に関する様々な研究事例の紹介を通して、イカの心を探っています。実験結果だけだと難しくなりそうなところ、著者のイカへの畏敬の念がにじみ出て、イカの心になってみる独特の観察視点も面白いので意外と読みやすい本でした。
この本でイカへの興味がわいたものの、そもそもイカの基本情報については全く知らなかったので、続いてこの本を手に入れました。
『イカ・タコ ガイドブック』 土屋光太郎 2002
こちらは写真中心の図鑑的な本になっています。全ページカラーで、色んな種類のイカ、タコがいっぱいのガイドブックです。それも海中で撮られたものばかりなので新鮮なイカの姿が見られます。解説やコラムも充実しているのが良い所です。この本は「ネイチャーガイドブック」というシリーズのもので、ほかにも「ウミウシ」「クラゲ」「イソギンチャク」などのガイドブックが出ているのでそちらも気になります。
体の色を変化させるイカ、イカの卵、赤ちゃんイカなど、どの写真を見てもイカの不思議さを感じますが、なかでもニュウドウイカとダイバーが一緒に写っている写真は引きました。海で巨大イカと出会ったらまちがいなくキャー!です。怖い。
そして次に手にとるとしたらこの本を読んでみたいです。
『イカはしゃべるし、空も飛ぶ』奥谷喬司
読んでびっくり! イカのイカした話池田譲さんも『イカの心を探る』の中で推薦していた本で、土屋さんの恩師でもあるという奥谷先生の本です。これはイカの研究者の共通点なのか、イカへの愛情が溢れているのはもちろん、池田さんも土屋さんも妙に解説の文章にユーモアがあるのが印象的だったので、きっと奥谷先生の本もそうなんじゃないかと思っています。
トビウオのように海面上を飛ぶ! 体色の七変化で求愛! 身近な存在であるイカについての知らない話が満載。かつて話題を集めた”イカ専門書”が新装版で登場。
『新鮮イカ学』 奥谷喬司
世界最小のヒメイカや最大のダイオウイカの生態、イカの知能の解明などに迫るいかしたはなし16話。こちらも読んでみたい。やたら「いかしたはなし」を押しています。
死んだイカしかお目にかかる時がないので、いつか泳いでいるイカを見てみたいです。
イカの本、なかなか面白いところへ行ったね(笑)
返信削除研究者のイカ愛、半端ないね・・
確かに、ぴちぴちしたイカって見たことないか。
この間食べたサンカクの部分のお刺身、美味しかったな笑
やっぱり美味しいところがすごいねイカは。
返信削除おいしい刺身の刺身って最近たべてない。。