サントリー美術館で開催中の「南蛮美術の光と影」へいってきました。
なんとなく、興味がないかもしれないなあと思いながら足を運んでみたところ、思わず面白いものがたくさん見れた。その「なんとなく」の心が一番ダメなのだ!と自分で自分に一喝。
ポルトガルやスペインからやってきた、物珍しいモノたち、絵画や工芸品、キリスト教、そして西欧人。異国文化が当たり前になってしまっている今からは、想像もつかないくらいの驚きや興奮が当時あったんだろうな。南蛮屛風には、船の入港シーンが多く見られ、はるばる遠い国からやってきた異国の文化に出会うという好奇心とか、物珍しい集団へのテンションの高さが表れているよう。当時の風俗画の技法そのままで描かれた南蛮屛風では、なおさらカラフルな洋服や人物が、松の木や金地の“日本”と対比するようでおかしな感じを与える。南蛮屛風に限らず、日本独特の、建物のバスっとした直線とか、遠近法では見てはいけないところは、見ていていつも楽しいし、その構図の潔さがかっこいいとすら思う。屛風のすみずみまで、その様子を漏らすまいと一生懸命書き込んである画面からは、ワイワイガヤガヤという声とともに活気や賑わいが伝わってきそうだった。
ちょうど展示期間が外れて見られなかった作品に、狩野内膳の南蛮屛風があった。神戸市博物館のサイトで初めて見てみたところ、他に出ていた南蛮屛風とはちょっと別格というか完成度が違っていたので、これは実物を見てみたかった気がする。
狩野内膳によるものと思われる南蛮屏風は数点存在するそうで、今年3月には関西の個人宅で見つかったものがクリスティーズのオークションに出され、ななんと3億4千万で落札されたということ。http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY201103240102.html
構図がとても似ているけど、左隻側の波の色が全く違っている。
そしていまだ信じられない、あの有名なザビエルの絵は日本人が描いたことを。
信ジラレナ〜イ !
そして一番信じられなかったのは、今回の目玉展示だった「泰西王侯騎馬図屛風」。神戸市立博物館とサントリー美術館で分蔵する2つの屛風の同時展示。描いたのは、イエズス会の学校で西洋画法を学んだ日本の絵師と推定されているとあったけれど、制作の経緯などは謎につつまれた屛風だそう。まず絵の大きさにびっくりし、そのクオリティの高さにまたびっくりし、屛風は金地になっている以外で、日本っぽさがひとつも残っていないから、日本人が描いたとは到底思えない。なのに全て日本画の技法を使って描かれているということろがまた驚き。人間みたいな馬の目がまた強烈な印象で、謎につつまれるこの屛風について考えるだけでもロマンがある。
好みとかそうじゃないとかいうのとはまた置いといて、時代のエネルギーや躍動が閉じ込められた美術には現代にも伝わるパワーがあるね。パワーを感じた展覧会でした。
本当に、思いもかけず楽しかった~ありがと!
返信削除知らないことを知る、新たな発見って大事!
あのクオリティの高さはすごかったね~
下手なのは下手なんだ、というのも分かった(笑)